GENERAL
DERMATOLOGY一般皮膚科
慢性苔癬状粃糠疹
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1慢性苔癬状粃糠疹とは
慢性苔癬状粃糠疹(まんせいたいせんじょうひこうしん)とは、やや膨らみのある紅色丘疹を生じる炎症性疾患の一種です。類乾癬は乾癬とよく似ており、皮膚に鱗屑を伴う隆起した特徴的な斑が現れます。慢性苔癬状粃糠疹では、体幹や四肢、首など体のあらゆる部位に丘疹が生じる可能性があります。
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2原因
慢性苔癬状粃糠疹の原因は現在のところ明らかになっていません。
病態的には表皮真皮接合部におけるT細胞が炎症を起こすことで症状が現れると考えられています。小児や若い人に発症が多く、10歳前後の発症が多いとする報告もあります。慢性苔癬状粃糠疹は類乾癬の一種で、類乾癬は乾癬によく似た角化性の紅斑が多発する疾患の総称を指します。皮疹の形態によって局面状類乾癬、苔癬状粃糠疹とに分類されています。慢性苔癬状粃糠疹は若年者に多く発症が見られますが、基本的にはまれな疾患と言えます。慢性型と急性型が混在している例も多く、発疹が盛り上がるなど経過観察中に症状に変化が見られる場合には注意が必要です。
基本的に慢性型の苔癬状粃糠疹の場合、発熱や血管の炎症を伴う急性型やリンパ腫へ移行する増殖型と比較するとそれほど重症化するリスクも高くなく、症状も軽いことが多いです。新旧の皮疹の混在も比較的少なく、潰瘍を伴うこともないため、適切な治療が行われれば予後は良好と言えます。
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3治療法
慢性苔癬状粃糠疹の治療には薬物療法や光線療法などが行われます。
具体的な方法としては、外用コルチコステロイド、外用タクロリムス、経口抗菌薬、紫外線照射、免疫抑制薬などが挙げられます。
ただ外用薬や内服薬のみの治療ではあまり効果が期待できないとされており、紫外線照射などが外用薬と組み合わせて行われる例が多いとされています。慢性苔癬状粃糠疹で見られる皮疹は、数ヶ月程度で自然に軽快する例も多く見られます。基本的に急性型や増殖型と比較すると、皮膚症状以外の症状がなくリンパ腫へ移行するリスクも少ないため、経過観察となることもあります。
ただ慢性苔癬状粃糠疹は数週間から長ければ数年間持続することもあり、発疹が繰り返し発現し治癒するという経過を繰り返します。
その都度症状に応じた治療を行う他、急性型と慢性型が混在する例も多いため定期的な皮膚生検なども必要に応じて行うことで、リンパ腫などへ移行するリスクに備えることができます。